ブロックチェーン技術を活用したデータ信頼性向上実証実験を実

ブロックチェーン技術を活用したデータ信頼性向上実証実験を実

March 22 2021

Tokyo

合同会社Keychain(代表取締役社長:ホープ・ジョナサン、以下、Keychain)は、関西電力株式会社(以下、関西電力)と共同で、電力P2P取引ビジネスを想定した取引データの健全性を高める実証を2021年2月に実施しました。

本実証ではKeychainのブロックチェーン技術を活用することにより、既存技術だけでは解決できないサイバー攻撃にも対処可能であることを確認しました。この結果を踏まえ、今後は、電力P2P取引や環境価値取引など新たなサービスの安全な実用化に向けた取り組みを進めてまいります。

<概要>
電力P2P取引への参加プレーヤ(プロシューマ[発電者]またはコンシューマ[消費者])宅に設置されるゲートウェイ機器(以下、GW)とP2P事業者の電力取引サーバーがインターネットを通じて取引データの送受信を行うことを想定した模擬的な実験環境を2種類(①従来方式、②Keychainブロックチェーン技術を搭載したもの)構築し、通信経路上に存在する中間サーバー内部で悪意あるハッカーがデータ改ざん攻撃などを行った場合に電力取引サーバーでの受信データの健全性について、①と②に違いがあるかを検証しました。

その結果、①の場合、電力取引サーバーでは改ざんされたデータをGWからの真正データとして受諾してしまう一方、②の電力取引サーバーでは、真正なデータではないことを検知して受信を拒否できることを確認しました。

<背景>
今後の実現が待たれる電力P2P取引ビジネスには多数のプレーヤ参入が予想され、さまざまなサイバーセキュリティ攻撃からどのように取引データの健全性を守るかが重要な課題です。

現在、一般的に利用されているhttps通信では特定の発信者と受信者間の安全なデータ通信が可能ですが、中間サーバーを経由するネットワーク構成の場合、万一中間サーバー内部でデータ改ざんが行われた場合にはこれを排除できず、また電力取引サーバーからは、どの端末からのデータなのか、データは改ざんされていないか、などのデータ健全性の担保ができないという課題があります。

Keychainのブロックチェーン技術を活用すると、個々のGW内に唯一無二のデジタルアイデンティティ(識別子)が組成でき、電子取引サーバーと相互端末認証ができます。GWから発信される全データにはGWごとの唯一無二の電子署名添付と暗号化処理されることで、電子取引サーバー側でのデータ健全性が担保できるようになります。

<ブロックチェーンを活用した電力P2P取引のデータ信頼性向上実証実験 概要>

① https通信を利用する一般的な環境

① Keychainブロックチェーン技術を活用した環境

【Keychain Coreについて】
Keychainは、様々な業種の企業に対して、ブロックチェーン上でデータセキュリティとアイデンティティ基盤を実装できる、「Keychain Core」を提供しています。

Keychain Coreは、どのブロックチェーン基盤上でも利用できるアプリケーション開発フレームワークです。企業は既存のインフラやアプリケーションと簡単に統合ができ、IoT、スマートフォン、PC、スマートウォッチなどのデバイスを問わず対応することができます。Keychain Coreの導入により、企業は以下のような事が実現できます。

1. 自己主権的なデジタルアイデンティティの管理
ユーザーによる自己主権的なデジタルアイデンティティ(Self-Sovereign Identity)
を、ユーザーが主体性をもって保持・管理できるようになります。

図:ユーザーのデバイスと各組織固有のユーザーIDを統合し、セキュアなデータ共有を実現

2. デジタルアセットの発行(Digital Asset Platform)
様々なデジタルアセットをライセンス保有する機関がカスタマイズ発行できる分散台帳技術。例:中央銀行によるデジタル通貨、再生エネルギー、ゲーミングアセットなど。

3. 端末レベルIoT端末でのアイデンティティ組成、データセキュリティ、デジタルアセット取引
世界初、小さなIoT端末同士でもアイデンティティ組成や、セキュアかつリアルタイムなデジタルアセット取引を実現しています。

4. データ・セントリック・セキュリティ
ユーザーのデータがクラウド上に分散保存されている状態であっても、デバイスや通信環境を問わず、ユーザーが自己主権的にデータセキュリティを管理することが可能となります。

5. セキュアなワークフロー
デジタルアイデンティティをベースとし、アクセス権限や支払承認を端末レベルで認証するため、未認証の端末からのアクセスやなりすまし、改ざんなどを防ぎます。

6. シームレスな契約締結
契約書データへの電子署名により、国内外を問わずスピーティーな契約締結が可能となります。